2016年11月5日土曜日

<総括7>想像とのギャップ(1)

渡米前はビジネススクールと言えど、そしてPerformance Learningを標榜するジョンソンと言えど、大学院なのだから何だかんだ言ってもアカデミックなプログラムなのではないかと思っていた。

ただ、行ってみると、本当に実用性に重きが置かれており、「研究」というような雰囲気があまり無いことに驚いた。ジョンソンに限らず、アメリカのビジネススクールとはキャリアアップの為の学校、即ち極端な言い方をすると「就職学校」のような位置づけなのである。だから、マーケティング・ファイナンス・会計等からプレゼンテーションや面接のコツまで、様々な分野を広くカバーする一方で、各々をあまり深く追求していかない。例えば消費者行動論などは、私が一橋大学のゼミで教わったことの方がまだ深かったのではないかと思う。もっとも、選択科目を受講することで深掘りすることはある程度できるし、それでも飽き足らなければ先生の部屋へ質問に行けば良い。

そして、幸いコーネル大学は巨大総合大学である為、ビジネススクールだけで無く外に出て、即ち学内の他の大学院で学ぶ機会を得ることができた。先に述べた通り、卒業に必要な単位数がほぼ揃っていた最終学期は、苦手な科目と興味のある科目だけに絞って受講したのだが、私は、国際関係と中国の政治と歴史に興味を持っていた為、その関連で「China
Encounters the World」という外交史の講義を聴講しに行った。これを受け持っていたのはChen Jian(陳兼)先生という数々の著書を持ち、アメリカでも中国でも講演に引っ張りだこで、あのキッシンジャーも意見を聞いて参考にしていたという程の超一流の先生で、4000年に渡る中国の歴史がどのように現在の中国外交に影響を及ぼしているかということを極めて分かりやすく教えて下さった。あまりにも面白かったので、先生の部屋に何度も質問を携えて訪問したが、毎回親切に回答して頂いた。何とも贅沢な体験だったと思う。

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